Nostalgic(?) Stack!

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バード★シット

監督 ロバート・アルトマン 1970年 104分
公式サイト(?):http://sky-way.jp/ziggy/intro_brewster.html
素晴らしい。素晴らしすぎて言うことがあまりない。必見。
とは言え、それだとあんまりなのでちょっと書いておく。
ストーリー(全部はとても説明できない)の概略等を書いておく。舞台はテキサス州ヒューストン。完成したばかりの野球場アストロドームの地下核シェルターに住んで、人力で空を羽ばたき飛翔することを夢見て、実現に向けて何やら怪しげな機械を作ってる青年ブルースター・マクラウドが主人公。ここ最近、街では連続絞殺事件が起こっており、その死体は必ず鳥の糞まみれになっている。そんな状況の中で、ブルースターを見守り続ける謎のトレンチコート美女の守護天使アメリカ国家を歌うのが趣味で自前の楽団まで用意しているおばさん、彼を運転手に雇って家賃の取り立てを行う守銭奴で下品な車椅子の老人、役立たずで自信家の上院議員、事件の解決のために上院議員に呼び出された常にタートルネックで決める私服刑事、私服刑事とコンビを組む交通課の警察官、私服刑事を快く思わない昔堅気の刑事に、上院議員の無能な秘書、マクラウドのカメラを取り上げようとする非番中の麻薬取締官ブルースターに自分が勤めている店から盗み出した食料品を届けては彼の部屋で勝手に自慰行為を働いた上に勝手に一人はてる女の子、アストロドームの案内嬢にしてレーサーの女の子、レーサーの女の子に車を盗まれた男、劇中に挟み込まれる人間と鳥の関係についての探究と種々の鳥の特徴(求愛行動等)について講釈を垂れ流す謎の奇声を発する教授、等々多様の人物、殺されるの誰?殺したのは誰(方法はともかくこれは分かりやすいのだけど)?果たしてブルースターは本当に空へ羽ばたけるのか?という奇想天外な群像劇。
当時のアメリカ情勢とかよく知らないので、この映画の文脈に織り込まれた風刺とかはピンとこないのだけど、コテコテのアクションギャグとか、分かりやすい会話ギャグに、平和的なカーチェイスとみている途中はのほほんと人が死んでいくけれども、何とも言えない味わいのある多幸感溢れる話。劇中に頻繁に流れる70'sメロディ(60'sかも)の数々。どこを切り取ってもすごくないのに素晴らしい、カーチェイスのスローモーションで車が次々とちょっとだけジャンプするシーンとか音楽と相まって高揚感があった。そして最後は泣き笑いギャグ。幸福感と切ない感じ。現実と夢。ああ何かフェリーニの映画みたいだなあとかついつい思ってしまう。すごいなアルトマンと思った。彼の映画は実はあんまり観ていないので、これは猛省して観なければなるまいと思ったのでした。超傑作。

キノプラウダNo.1-9

監督 ジガ・ヴェルトフ 1922年 93分
特集 ジガ・ヴェルトフとロシア・アヴァンギャルド映画

プラウダ」はソ連共産党が出していた新聞で、その映画(キノ)版として作られたニュース映画シリーズ。3年間で25本作られ〈映画眼〉の実践の場となった。コマ撮りアニメを含む多様な技法が取り入れられ、回を追うごとに実験性が増したため批判も受けたが、ヴェルトフは「芸術のバベルの塔を爆破する」のだと反論した。(引用元:アテネ・フランセ文化センター特集HPの作品解説)

というわけで(?)行ってきた。一応此処の会員なので、安く観た。今日(2010/07/24)が特集上映初日であってか、結構お客さんは入ってました。平日はどうだろう。あと「カメラを持った男」と「アエリータ」が見たいのだけど。行けるかなどうだろう。
引用した解説の通り、このキノプラウダシリーズは23本あるらしく、今日はその9本を上映だと思っていたけど、毎回「キノプラウダNo.X」とテロップが入るとすると、上映されたのは、No.1,No.4-9で、No.2とNo.3は上映されていないと思う。見落としたかもしれない。最初の方妙に眠くなったものでして。
ロシア・アヴァンギャルドの歴史とかについては漠然としたイメージしか持っていない。

  • 構図が変にパースが効いてて(自分としては)妙にかっこいい。
  • 文字フォントとその配列が素敵

ぐらいのものである。で、この映画だが、前者についてはその萌芽が見られるし、後者は全体的に面白い。"回を追うことに実験性を増す"ということについては確かにそうだった。後半はオーバラップも導入されている。
最初は普通にニュース映像でタイトルも普通に出たりするのだが、No.5辺りになると、新聞を読んでる人を写して、その新聞に「キノプラウダNo.5」と書いてあったらしく、5号の終わりでは、再び新聞を読んでる人を写して、彼が新聞を裏返すと新聞には「終わり」の文字が書いてある(ロシア語読めないので多分)という当時としてはなかなか洒落たことをやっている。ニュースの事件ごとタイトルの文字フォントは全体的に似た感じだが、後半になるにつれて、縦書き部分を混在させたりと愉快になってくる。
ニュース内容についてはNo.1では「飢えた子供たち」を写してて、ソ連当局的にいいのかなあとかいきなり思わされる。後でその救援作業の様子とか写されるので、一応フォローは入るけど、子供たちの表情のインパクトにはかなわない。今回観た限りではエスエル党(社会革命党)*1の裁判風景が一連を通しての話題となっている。これについては不勉強すぎて、何のことやらでまあ色々やってます、という感じ。ニュースだからこれでいいのだけど。ただ、裁判の判決について賭け事をする男性二人を映す→裁判結果が出る→後日彼ら二人が馬車に乗りながら結果の新聞を読んで一喜一憂する様子を映すといった展開がされるのだが、これは多分ヤラセだと思う。ちゃんと構図もとってるし、わざわざ馬車の上にカメラを載せて撮影してるところをみると間違いない。ドキュメンタリーにフィクションを持ち込む、そういう意味で実験的なのかもしれない。
後は、戦車が経済戦線でも活躍したり(飛行場建設のための地ならしに使われる)、農業戦線(耕し)に使われたりして、おお大規模な機械化!とか思ったりしてちょっとわくわくする。ただまあ全体としてはちょっと眠い。